これは作者たちが神々と出会った旅の記録だ。だがそれだけではない。
読者は本書を通して様々な神々と出会うだろう。かつまた読了後自らの足を奮い立たせ実際に神々を訪いたくなる。我々の目を、足を、心を山陰の神々の世界へと誘ってくれる、本書はそんな道しるべである。
執筆陣は日本古代史研究で著名な関和彦氏、山陰に根ざした著書の執筆をされ、『山陰万葉を歩く会』会長でもある川島芙美子氏、万九千社宮司・島根県神社庁参与の錦田剛志氏…といずれもその道のプロフェッショナルだ。彼らがそれぞれの観点から石、海、水等々テーマごとに神々・社を紹介する。
一テーマまるごと巡って山陰の神社をコンプリートするもよし、各テーマから気になった神社をピックアップしてオリジナル「神々との出会いツアー」を企画するもよし。中には鉄、酒等山陰ならではの神社もあるので、目の肥えた読者の琴線にも触れる社が見つかるはず。
旅行前の予習には勿論、以前参った社を調べてみると、意外な事実が分かるかもしれない。そこから関連する社にも参ってみたくなって…と広がりのある読物だ。
巻末には山陰の神々リストを収録。参った神社をチェックして、御参拝帳として使用するのもお勧め。
漫画家安彦良和古代山陰を歩く。
更に今回は漫画界の巨星・安彦良和氏による『ヤマトタケル』『天の血脈』の武内宿禰をまつる宇倍神社、『ナムジ』ゆかりの、さらに『機動戦士ガンダムTHE ORIGEN』の舞台になった出雲大社訪問記も収録。色褪せることない神々との出会いを記した、長く付き合える一冊であること間違いなし。
書名:山陰の神々 神々と出会う旅
発行:山陰の神々刊行会
定価:2,000円(税込)
ISBN:978-4-906794-73-7
2015年3月10日tue